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京都市

株式会社冨田屋

育休からの復帰を支援する取組

【空いている時間を利用して働ける会社を】

明治18年ごろに建てられた「冨田屋」。織物のまち・西陣での当時の商いの様子や、設えをそのままに残しており、国登録有形文化財、京都府の景観重要建造物に指定されています。現在は、「西陣 くらしの美術館 冨田屋」として、日本文化を伝える拠点に。町家見学や着物の着付け体験、マナー講座など、国内外から訪れる観光客に和の文化に触れる体験を提供しています。

空いている時間を利用して文化を伝える仕事を

同社で働くスタッフは常勤、短時間勤務を含めて約10名。そのほとんどが女性です。「私たちの施設は、毎日オープンしているため、お客様の対応をするスタッフが常に必要です。そのため、小学校や幼稚園に子どもを通わせている方が、空いている時間だけでも勤務できるよう働き方を考えています」と、代表取締役の田中さん。「終日の勤務は、難しいけれども子どもが学校に行っている間ならば働きたい」、そんな子育て中の人たちのニーズを汲み取り、これまで何名かのお母さんたちが勤務してきました。

小学生の子どもさんを抱えている人には、「子どもさんは学校が終わったら、冨田屋に帰ってきてもいいよ」と伝えているそう。事務所の一部を子どもたちの待機場所として解放し、そこで宿題を終え、お母さんの仕事が終わるのを待つというものです。
「赤ちゃんを連れてきたスタッフもいます。私の母が赤ちゃんのお世話係をしていました。」これほどまでにサポートを手厚くするのは、「子どもの心配なく働ける方にはどんどん活躍してほしいから」と話します。

株式会社冨田屋

「もっと子どものそばにいたかった」過去の経験を反面教師に

自身も仕事をしながら、子育てを経験した田中さんが働く環境づくりに力を入れているのは、過去の自分の苦しい思いから。「呉服問屋に勤めていたため、子どもを母に預けて全国を出張し、必死で仕事をしていました。その時は一生懸命だったのですが、振り返ると『小さい頃、もっとそばにいてやりたかった』と思います。子どもにとって頼りになるお母さんがそばにいる、その経験が子どもの成長にとても大切だと感じています。私の経験を働くお母さんたちにさせたくない、その一心で今の会社の働き方を作りました。」

また、「大企業であれば、人員もたくさんいますし、サポートもたくさんあります。子育てをしながらキャリアを形成することも可能だと思います。でも、私たちのような小さな会社では、そうはいきません。文化を伝える仕事も技術の継承や、学びの積み重ねが必要です。知識と経験がある方に長く会社で働いてもらうために、子どもが小さい頃は短時間で働き、手が離れたら正社員に。そんな風に働いてもらえたら、お母さんにとっても会社にとって良いのでないかと考えています。」

株式会社冨田屋

子育て中も社会と繋がる大切さ キャリアと子育ての両立を

田中さんは、着物が好きな人、町家で仕事がしていたい人、外国語を使って日本文化を伝えたい人……など、「日本や京都の文化が大好き、もっと知りたい!」、そんな人の気持ちを汲み取って、一緒に仕事をしたいと考えています。「自分の好きなことを学びながら、それが仕事になるって、とても素晴らしいこと。自分の身に付いたものは、絶対になくならないですし、子どもは親が学び、働く姿をちゃんと見ています。弊社で働いてくれたスタッフのお子さんたちも本当に良い子に育ってくれています」と頬を緩めます。

さらに田中さんは「できるならば、何か社会に触れ、繋がっている方が良いと考えています。子育て中であっても、仕事を通して、自分の中に自信が芽生えてくることは人生において大切なこと。女性の子育てとキャリアの両立を後押ししていきたいです。」

子育てをしながらも、親も好きな仕事で自信を持ち、輝き続けてほしい—。田中さんは子育て中の人々にフレキシブルな職場環境づくりを通して、エールを送り続けています。

株式会社冨田屋

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