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与謝野町

織元 丹菱株式会社

子連れ出勤できる環境の整備

【2人の従業員の子育てを応援する育児スペースを新設】

 昭和35(1960)年創業の丹菱(たんりょう)は、日本が誇る伝統織物「京都丹後ちりめん」の製造会社。分業の多い同業界において、撚糸から機織りまでの全工程を自社で行うことで実現できる高い品質と確かな技術力が強みです。正絹ちりめんで培った技法を活かして、ポリエステルやレーヨンといった化合繊を使った服地をはじめ、風呂敷や和装小物、インテリア雑貨などを製作しています。

子育てに奮闘する社員のために必要な制度を導入

 「働きやすい環境を常に意識していて、育児への支援もそのひとつ」という糸井社長自身も、従業員である妻と3人の子どもの子育て中です。地元の子ども園でPTA会長を務めるなど、いかにのびのびとして暮らせるか、という点に重きを置いて子どもたちと向き合っています。その際、最も大切なのは環境づくりだというのが糸井社長のポリシー。その想いは、子どもだけに留まらず、丹菱の従業員に対しても抱いています。

 同社は、糸井社長を含めて7名の織元。平均年齢は60歳を超え、最高齢である72歳の社員は勤続年数50余年というベテランです。糸井社長が産休・育休の導入を考えたきっかけは、6年前に入社した当時33歳の女性社員(2児の母)が、2023年に3人目の子どもを授かったことでした。

 「ちょうど同時期に私の妻も3人目を身ごもっていたので、彼女たちが安心して出産や子育てが出来て、職場に復帰できるようにサポートしようと思いました」。

丹菱株式会社

無いから出来ないではなく、無いなら作ればいい!

 育休が明けて現場復帰しても、子育て中のママの気苦労は絶えないもの。そこで、府の補助金を利用して自社工場内に託児スペースを新しく設置することにしたのです。育休が明けて彼女らが仕事に戻ってきた際には、「気軽にお子さんを連れてきて安心して働いてください」と説明するつもりで、準備中は内緒にしていたといいます。

 職場には、織機など大きな機械が多く、それらが動線的にも無駄なく有効に配置されています。そんな中で、働く人たちの邪魔にならず、今までになかったスペースをどう確保するかという課題に思案を重ねた糸井社長。思い切って、「今は使っていない機械を処分して、空調も取り付けられる場所を作り出しました」。ピンク・ブルー・グレーなど色とりどりのちりめんクロスを壁紙にするなど、子どもたちがホンモノにふれられる丹菱らしい空間が完成しました。今後は、子連れスペースの開設も予定していて、従業員のさらなる定着率向上を図りたいと糸井社長は意気込みます。

 

時間単位の有給取得など産後休暇制度の充実を図る

 「これまで、ご縁があってうちに来てもらった人たちで、どうしても仕方がない場合を除いて、仕事内容や職場環境が合わないからといって辞めた人はいません」というのが、糸井社長の自慢でもあります。それは、「今後どういった課題が出てくるかは人次第。誰もが働きやすい環境を作るため、今やらなければいけないことに挑んでいく」という社長のチャレンジ精神があってこそ。

 たとえば、子どもの行事や体調不良などにフレキシブルに対応するため、時間単位での有給休暇が取得できるように、来年度の導入に向けて準備を進めているのもそのひとつです。加えて、産後休暇制度を充実させたいとも考えている糸井社長。「子どもが熱を出して急にお迎えが必要になったときなどに有給が取れれば、安心して働けますよね。特別手当として給料を払えば、国から助成金が出ることを最近知ったんです。従業員のため、引いては会社のためになることは、積極的に取り入れていきたいと思っています」。

 これらの取り組みについて、丹後地域における子育ての充実を図るため、行政と地域の関係団体で構成する「子育て環境日本一丹後推進会議」の場で説明するなど、地域への発信にも積極的に取り組まれています。

丹菱株式会社

 

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