舞鶴市
昭電工業株式会社
時間単位の年次有給休暇制度
【持ちつ持たれつで誰もが働きやすい環境に】
京都府の舞鶴市を拠点とした関西一円で、電気設備工事に携わっている昭電工業株式会社。昭和39年の設立より地域のインフラ整備を支え、同エリアの頼れる会社として評価を得ています。同社では、50年近く前から子育て家庭への支援に力を入れており、現在も男性の育児休業、時間単位の有給休暇など、男女ともに働きやすい職場づくりを行なっています。
会社独自の扶養手当、福利厚生を充実
現社長の目見田さんの父である先代の時代から、子育て支援に取り組んできた同社。会社独自の扶養手当として子ども1人につき1万円ずつ、3人まで支給してきました。また、国の産前産後の休暇、育児休暇、介護休暇制度なども、すぐに取り入れて社員に推奨してきました。目見田さんは「父は仕事ばかりで、子育てに関して後悔もあったと聞いています。家族を仕事で犠牲にすることがないよう、従業員の扶養や福利厚生を充実させてきた経緯があります」と言います。
男性社員には、育児休暇を積極的に活用するようにアドバイスしています。工事部の大江さんは3人目の子どもが産まれるタイミングで取得。
「1週間でしたが、妻の大変さが分かりました。料理の作り方から、子どものものがどこに置いてあるか、保育園への送迎なども分からないことだらけ。忙しいからと家事・育児から逃げていましたが、当たり前のこととして一緒にやらないといけないと反省しました」と振り返ります。
目見田さんは、「会社みんなで休む人をサポートしていく。心穏やかに出産を迎えてほしいです。従業員の子は、私の子だと思っていますから」と、みんなが安心して休めるよう、声かけをして育休を後押ししています。
ちょっとした用事に時間単位の有給休暇を
同社では、休暇制度以外に時間単位の有給休暇を取り入れています。「参観、通院など、1日分の有給を使わなくてもいい用事ってあります。そんな時に、ちょっと抜けて学校へ行ったりできる制度は便利でした」とは、同社で働きながら子育てを経験した森津さん。目見田さんも「1日分の有給がなくなるよりも、必要な時に必要な分だけ取れることは、時間的な部分だけでなく、従業員の気持ちの面でも大きいと思います。抜けるときに気を使わなくていいし、周りも送り出しやすいですから」と言います。
従業員の働く環境を整えるために同社が取り組んだのは、職場のコミュニケーションを深めることでした。従業員が20名以下の同社にとって、人員が抜けた穴を埋めるのは大変なこと。「従業員みんなの協力なくして成り立たないと思っています。みんなで持ちつ持たれつ。コミュニケーションをとって、普段から家族の話を聞くようにしています。私自身、社内で子育て相談に乗ってもらうことも。互いの事情がわかっていれば、何かあった時も頼りやすいし、こちらも手を差し出せます。いつも声をかけて、だんらんするような日常が社内にあります」と目見田さん。
働く環境の整備で採用応募が順調
「私は、普通のことだと思っているのですが…」と前置きする目見田さん。先日、同社の取り組みを採用ホームページにアップしたところ、他エリアからの応募があったそう。さらに、就職フェアでも学生らが会社の制度や働く環境に興味を持ち、話を聞いてくれる機会が増えたとか。人材確保の面で、大きな成果が表れています。「私が就職活動をしていた時代は、子育てのことなんて聞かなかったのですが、今は育児、スキルアップのための資格取得、職場環境についての質問が多いです。その中から選んでもらえたことは光栄なことだと思います」。
また、目見田さん、森津さんともにフルタイムで働きながら育児をしてきました。女性が社会進出やキャリアップをする際の不安について、経営者として全力で駆け抜けてきた目見田さんは、こう振り返ります。「家族だけでなく、ご近所さんにも子ども預けていました。いろんな方に『困っています』とアピールして、みんなに助けてもらって現在があります。自分でやらなきゃとならず、素直に助けを求めてほしいですね。声を上げてくれるとサポートしやすいですから。実は、最近、子どもに『淋しかった?』と聞いたんです。そうしたら、『いろんなところに行けて楽しかった』と答えてくれて、なんだか安心しました。キャリアップを考える女性には、もっと周りを頼っていいんですよ、そう伝えてあげたいです」。