京都市
株式会社広瀬製作所
時間単位の年次有給休暇制度
【ライフステージに合わせて選べる雇用形態】
1949年創業の株式会社広瀬製作所は、精密板金のサプライヤーとして数多くの企業と取引を行ってきました。自らを「板金コンシェルジュ」と呼び、精密板金の試作から量産まで、顧客の要望やニーズに合ったものを提案・提供しています。同社は、社員がいきいきと活躍できる「健康経営」に戦略的に取り組む優良法人として、「健康経営優良法人2023」に、また、京都府の「ワーク・ライフ・バランス認証企業」にも選ばれています。
女性社員の力を会社に生かすために
精密板金を扱う企業と聞くと、男性が多いイメージですが同社の男女比率はほぼ同じ。事務職のスタッフだけでなく、加工の現場でも女性が活躍していますが、以前は、結婚・出産を機に退職する女性が多かったそう。
同社代表取締役の広瀬さんは「10年以上前は、まだ残業も多く、働き続けてもらう環境を整えられていなかったのだと思います。その反省を踏まえ、短時間正社員の制度を導入しました。お母さんたちが子どもを送り出してから出社し、少し早めに退社します。現在も制度を利用し、当社の重要な仕事を担ってくれている方がいらっしゃいます」と話します。
短時間正社員とフルタイム正社員
同制度のメリットは、育児期間に時間を有効活用できるだけでなく、短時間勤務の必要がなくなれば、自ら申し出てフルタイムに雇用契約を変更することができることです。「短時間正社員と正社員の間を行ったり来たりすることができる仕組みにしています。育児がひと段落してフルタイムになっても、もしかすると次は介護の必要が出てくるかもしれません。例えそうであったとしても、社員が働き方を柔軟に選べることはとても大事なことだと考えています」。そのため、同社では技術を持った優秀な女性社員がキャリアを諦めることなく、ずっと働き続けられる環境の整備に力を入れてきました。実際、現場では「この作業はこの方、この技術はこの人でないと」といった声が聞かれました。
また、男性の育児休暇、子どもの急病等による有給休暇、時間単位での有給休暇取得も積極的に推奨しています。「今は子育ても男女均等で、父と母の負担も半分ずつであるべきです。当社は男女関係なく、子どもさんの用事で有給を取っても『ちゃんと見てあげてや〜、お互い様なんやから』と、みんなが言い合えるそんな職場です」と広瀬さん。
多能工制度で一人に頼らない職場へ
同社ではワーク・ライフ・バランスを進める中でも、業績を伸ばし続けています。その理由を広瀬さんに伺うと「多能工制度を3年前から取り入れ、月に一度、みんなが自分の業務をせずに、スキルアップのための学び時間を設けています。『育児中の人を休ませてあげたい』と思っていても、『この人が抜けると困る』ということではいけません。みんなができる業務を増やし、会社全体でカバーし合える環境づくりも大切」と言います。また、多能工制度は、業務を円滑に進めることだけでなく、いろんな仕事内容を知ることで社内でのコミュニケーションが深まるという側面もあります。
さらに同社では、残業を減らし、会社の生産性を上げるために社内に5つのチームを作り、それぞれが取り組み目標を設定し、日々挑戦しています。「スキルアップ、コミュニケーション、改善、無駄取り、アイデアソンの5チームがあります。それぞれがチームでのミッションを自主的に考えて、会社の生産性を上げる活動を提案しています。ここでは、若手社員がリーダーを務めることもあり、世代間の交流も比較的うまく進められているように感じます」と広瀬さん。同社の平均年齢は39歳と20代、30代の若い社員が会社を引っ張っています。
過去は「残業が多く、休みなく働いた時代もあったが、今はそうじゃない。目指すのは、残業せずに固定給がしっかりとある会社」と、広瀬さんは力を込めます。会社が制度を整え、社員たちが自ら働きやすい環境づくりを考える広瀬製作所。技術職の現場は大変—。そんなイメージを塗り替え、女性も男性も、若手もベテランもみんなが満足できる職場づくりは、これからもどんどんアップデートされそうです。