きょうと子育てピアサポートセンター 京都府の妊娠・出産・子育て支援情報ポータルサイト

知りたい

こどものアレルギー

アレルギーにかかりやすい体質のお子さんは、乳児期早期から乳児湿疹・アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどを発症するといわれています。乳幼児期に起こりやすい皮膚疾患や食物アレルギーへの対応について説明します。

赤ちゃんの湿疹(しっしん)について

赤ちゃんの皮膚は大人に比べて薄くデリケートで、湿疹(しっしん)ができやすい構造になっています。赤ちゃんに多い湿疹は、乳児脂漏性湿疹とアトピー性皮膚炎です。乳児脂漏性湿疹は、生後2週間ごろから頭やまゆに薄い黄色のかさぶたができて、赤い小さなぶつぶつが顔や首、からだ全体へと広がっていきます。かゆみはあまり強くなく、6か月ごろから治っていくことが多いです。

一方、アトピー性皮膚炎は、生後2か月ごろから顔、頭、耳の周囲に強いかゆみを伴う赤いぶつぶつやじくじくが現れ、体、手足に広がっていき、良くなったり悪くなったりを繰り返します。

この2つは合併することも多く、はっきり区別しにくいことがしばしばあるので、お母さんの判断でこじらせてしまったり、くよくよ悩んで自己流の治療をしてしまうより、かかりつけの医師に診てもらって、必要な治療や検査を受けるようにしましょう。

アトピー性皮膚炎の治療・スキンケアについて

アトピー性皮膚炎の子どもの皮膚は、バリア機能が弱く、外からの刺激を受けやすくなっており、その刺激によって、皮膚に炎症が起こり、かゆみが出てきます。したがって、アトピー性皮膚炎の治療としては、

  1. 外からの刺激を取り除きバリア機能を補強する(スキンケア)
  2. 皮膚の炎症を抑える(塗り薬)
  3. かゆみを抑える(のみ薬)

といったことが必要になります。

(1)スキンケアは、まず皮膚の汚れや汗をきれいに落とすということが大切です。石けんやシャンプーを使う方が良いですが、必ず残らないようにきれいに洗い流しましょう。強くこすってはいけません。熱いお湯はかゆみが強くなるので避けましょう。
おふろからあがったら、水分をふいたあと、すばやく保湿剤(乾燥・バリア機能の低下を補い、炎症の再燃を予防する目的)を塗ります。つめはこまめに切り、かどがないようにしましょう。食後は口の周りを洗うか、ぬれたガーゼでふき取るようにしましょう。ちくちくする繊維はかゆくなりやすいので避け、通気性の良いものを選びましょう。また、洗剤や柔軟剤は刺激になることがあるので、よくすすぐようにします。室内を清潔にし、ダニやかびが増えないようにしましょう。

(2)炎症を抑える塗り薬は、ステロイド剤が最もよく使われます。ステロイドには、強いものから弱いものまでランクがあり、子どもの年齢や部位により、使い分けられます。少なすぎても炎症を抑えることはできませんし、塗りすぎると皮膚に負担がかかることがあります。塗り方、回数など、決められたとおりしっかり塗ることが大切です。

(3)アトピー性皮膚炎では、眠くなったときや布団に入ってからだが暖まると、かゆみが強くなることが多いです。かゆみ止めの作用にある抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤を飲むと、かゆみがおさまり、眠りやすくなることがあります。

アトピー性皮膚炎はかゆみが強いため、「かいたらだめ。」と言っても我慢できるものではありませんし、「だめ。」といわれると悲しいものです。かいているときは優しくさすってあげてください。そして、かきむしるような状態を早く治すために、治療をしっかりすることが重要です。

アトピー性皮膚炎は、完全にすっきり治ってしまうということは少ないですが、赤ちゃんのときのアトピー性皮膚炎は成長とともに軽快してくることが多いものです。かかりつけの医師に相談しながら、気長に治療しましょう。

食物アレルギーについて

「…を食べた後に決まって過敏反応が起こる」というときに、その食品に対して食物アレルギーがあるといいます。赤ちゃんは大人に比べ消化吸収能力が未熟なので、食物が十分消化されないまま腸管から吸収され、食物アレルギーを起こしやすいという特徴があります。

原因となる食物はさまざまですが、赤ちゃんで最も多いのは、卵です。症状は、かゆみ、じんましんなどの皮膚症状、吐き気、下痢などの消化器症状、ゼーゼー、呼吸困難などの呼吸器症状などですが、症状の強さは人によって異なります。

症状が強い場合は、原因となる食物を少しでも含むものはすべて除去しなければならない場合もありますが、自己判断で食物除去を行うと、栄養が偏ったり不足したりして、脳や神経の発達やからだの成長を妨げることがあります。

食物除去を行う場合は必ず医師に診せ、判断してもらうようにしましょう。診断の際に、血液検査、皮膚検査、除去テスト(やめてみて症状が良くなるかどうかをみる)、負荷テスト(食べてみて症状が出るかどうかをみる)などが必要な場合もあります。

食物アレルギーは、成長とともに治ってくることが多いので、食物除去を解除していくタイミングや方法についても、かかりつけの医師に相談しながら行うようにしましょう。

アレルギーがある子どもの薬・予防接種について

一般的に子どもは大人に比べ、薬に対するアレルギーを起こすことは少ないですが、卵アレルギーの子どもが卵成分からできている塩化リゾチームを含んだかぜ薬を飲んだり、牛乳アレルギーの子どもが牛乳成分であるカゼインを含んだ抗生剤や下痢止めを飲んだりするとアレルギー症状が起こることがあります。食物アレルギーなどがある子どもが、初めての病院・医院でお薬をもらうときや市販のお薬を飲むときには、必ず医師や薬剤師にアレルギーのことを伝えて相談しましょう。

予防接種を受けるときも、アレルギーがある場合は「大丈夫かな。」と心配になることがあると思います。予防接種のワクチン液には保存剤や安定剤、抗生剤などが使用されており、まれに、これらの薬剤に対するアレルギー反応が起こる可能性があります。接種前にかかりつけの医師に相談するようにしましょう。予防接種は病気から身を守る有効な手段です。重症なアレルギーでない限り安全に接種できることが多いです。かかりつけの医師と相談して、お子さんの体調の良いときに症状に応じて専門の医療機関を活用しながら、是非受けるようにしましょう。